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村上春樹とジャズ [回転木馬のデッド・ヒート①]


ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。「回転木馬のデッド・ヒート」を扱っていきます。

 

読みたてほやほやで書きます。
短篇集なのですが、虚構ではなく、ドキュメンタリーです。
村上春樹のインタビューした人、知人、親しい友人、元仕事仲間、ファンなどの、実話を、文学的な脚色はあるものの、忠実に再現した話です。

 

短篇に入る前にタイトルの解説があるのですが、これがまた面白い。

ここで短編にした他人の実話は、「話してもらいたがっている」らしく、奇妙な体験だったと。小説ほど変わった話でもないにも拘わらず些か奇妙です。

その奇妙とは、花村萬月の言葉を借りるなら、
「嘘(虚構)は徹底した整合性を求められる宿命にある」のです。

つまり、本当の話ほど、嘘っぽい。

 

あれ? こんなこと前にも書いたな? と思ったら「東京奇譚集」を紹介した時ですね。
でも本人が繰り返し(数年後しに?)このことを書いているので、書かざるを得ません。

「他人の話を聞けば聞くほど、我々はどこにも行けない。我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈なデッド・ヒートを繰り広げているように見える」、と。

 

1つ目の「タクシーに乗った男」は、画廊をやっている女オーナーの話で、村上春樹がインタビューをした時に聞いた話です。
今までで一番衝撃的だった絵は? という質問に、全く無名のチェコ人の絵をあげます。
その絵の色を表現する時に、デューク・エリントン・オーケストラが使われます。

 

デューク・エリントン・オーケストラのトーンのように、シックでぶ厚い

46頁

Duke Ellington Orchestra – Take the A Train




harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。
http://harumati.jimdo.com/

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