Ink Spots [Les Paul & Charlie Christian]
レス・ポールはソリッドギターの実用化（ソリッド以前は内部が空洞のギターしか無く、マイクを取り付けてもハウリングの問題があった）に成功し、ギタリストは他の楽器に負けない音量で演奏する事が出来るようになり、その理想への一歩としてエレキギターをリード楽器として確立させたチャーリー・クリスチャンの二人の功績はそれから20年後の音楽にとっても、そしてその先の現代の音楽にとってもものすごく大きな意味を持っています。
みんなエレキギターのような楽器を待っていたのですね。2014年の現在でもエレキギターを超える音楽的進化はまだ発明されていません。シンセサイザーやサンプラーは結局デジタル信号であって、物理的な原理と電気的な興奮とのバランスがとれて世界中の若者が熱狂はあれ以来現れていないのかもしれません。
ギタリストなら避けては通れない名前、自分の名前を自分の開発した全く新しいギターに付けた唯一無二のギタリストです。
そしてギターの可能性を無限に切り開いたチャーリー・クリスチャン。
チャーリーはエレキギターがビッグバンドに対抗できる楽器である事を証明してくれた、言わば今の僕たちが聴いている音楽の方法論を最初に示した偉大なミュージシャンです。
特にジャズギタリストはこの人の後にできた広大な土地を耕す事ができて本当に幸せだったでしょう。
もちろんエレキギターの可能性は無限に広がり、ブルースもポップスも、その後に生まれるロックもさらにそこから派生する他の音楽も、チャーリーがエレキギターを持ってソロを弾き、ベニーグッドマンのオーディションに合格した日からまた長い旅が始まったのです。
2年のプロ活動ののち25歳で亡くなったチャーリー・クリスチャンもまた音楽史に残る奇跡の一つで、活動期間の短さからまるで夢のような話にさえ思えます。
この人が2年間だけ未来のミュージシャンとオーディエンスにヒントを与えてくれました。
もちろんレスポールのアイデアもロック史には欠かせないですし、長生きした事で後輩達が実際にレスポールを囲めた事は本当に幸せな事実です。
長生きしたレスポールと若くして亡くなったチャーリー・クリスチャン、ギターを主役にしたこの二人こそ、音楽史の偉大な主役そのものでした。
https://www.youtube.com/watch?v=h2FeKf7UUcQ
それにしてもこのレスポールはブッ飛んでいる・・・。
ライター： 大石 悠 鍵盤奏者。幼少の頃から両親の影響でレコードを愛聴。特に生前の時代である60年-80年代のブラックミュージックシーンに魅力され、人間味のある泥臭くもパワフルな演奏スタイルを持つ。即興ジャムオルガントリオ"ＭＹＭ",他セッション、サポートでも活動中。
― 連載コラム：Ink Spots ~All about JAZZ I think~ ―
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