村上春樹とジャズ [ダンスダンスダンス④]
ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。ダンスダンスダンス、ラストの記事にします。
僕は頭を空っぽにして運転に神経を集中し、『スタッフィー』や『サイドワインダー』にあわせて口笛と隙間風の中間くらいの音色の口笛を吹いた。
140頁
Lee Morgan – The Sidewinder
ダンスダンスダンスはたくさん人が死にます。
その死は抽象的な何かを説明し、批評をしているようでもありますし、物語のリズムをつける意味でも使われていると思います。
村上春樹はパラレルワールドをよく書きますが、ダンスダンスダンス以降その色が濃く出ているように思います。
抽象的なことは便利で、思想を断言しなくて済むので、多角的な解釈ができます。つまり本人も揺らいでいてよくわかっていないのだと思います。
作家の揺らぎを読むことも楽しみ方の一つかもしれません。
リー・モーガンはアメリカのトランペット奏者で、ハード・バップの代表格です。
The Sidewinderは彼の最も有名な曲で、当時のジャズでは異例のビルボード25位を記録したそうです。
8ビートを取り入れた「ジャズ・ロック」が60年代前半のアメリカには理解しやすいものだったからだと思います。
72年にライブ演奏中に愛人に撃たれて即死したそうです。そのころ彼にはフィアンセがいたみたいですね。
愛人のこともちゃんと“吹かなかった”故の死です。
彼の音楽を聴いた時には、恋人にちゃんとハード・バップしているか思い出しましょう。
ライター: 山本 春町 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター こう見えても文学少年。 下ネタ大好き。変なやつ。 http://harumati.jimdo.com/
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