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Ink Spots [Hermeto Pascoal]


こんにちは、ごきげんよう。大石です。

いつもブラックミュージックに関連した話から脱線していくこのコラムですが、今回は白いジャズについて書きます。
白い、といっても肌の色は様々ですし我々アジア人にも様々です。
黒人もアフリカ系だったりアジア系だったり中東系だったり、一口に黒人、白人とはカテゴライズしにくいのです。

 

日本が誇るパンクバンド「ブルーハーツ」も名詞を残しています。

「生まれた所や皮膚や目の色でいったいこの僕の何がわかるっていうのだろう」

さてまた脱線しかかっていますが、脱線するということは本題から派生する色んな事柄を認識するということなの、むしろ悪いことではないと思います(字数制限が細かくないこのコラムにはぴったりの言い訳ですね!)。

 

白人にも国籍や言葉や分布がありますが、今回は「白人の中の白人」、すなわち「白人のアルビノミュージシャン」であるエルメートー・パスコアールについてです。

エルメートーは生まれつきのアルビノ症によって視力が弱く、そのぶん聴力が優れているといわれています。
弱視、また盲目の人はその分他の感覚が強い場合が多いそうですが、以前書いたローランド・カークやスティービー・ワンダーなど優れたミュージシャンが多くいます。

生まれつきではなくても、病気によって視力を失ったレイ・チャールズなんかもやはり、その分音に反応が出たのではないでしょうか。

エルメートーは幼い頃からサックス、ピアノなど様々な楽器をマスターしていき、音という音を組み合わせた新しい音楽を産み出してきました。
彼はブラジル人で、アマゾンのジャングルに籠っていたという話もあります。
自宅に籠ってAmazonで買い物をしている人は共感するところがあるのではないでしょうか。

 

このエルメートーというミュージシャンはまた、一言では言い表すことが難しい、個人がジャンルとして成立している数少ない人です(同じような人にフランク・ザッパがいます)。

豚の鳴き声を効果音として「演奏」したり、身の回りの音が鳴るものは全て楽器として扱う人です。

色々な動物や包丁なんかを「楽器」として持ち込み、空港で没収されたりします。国際的には認められるわけがありませんから…。

いわゆるブラジル音楽とは違い、ごく初期のフュージョン、プログレッシブラテンジャズ、といったサウンドがイメージに近いかもしれません。

 

しかし前述の通り、動物の尻を叩く音を録音するような発想の人ですから、一筋縄ではいきません。いわゆる自然や環境音を録音する「フィールドレコーディング」ともまた違う感覚で様々な音を音楽として記録しています。

 

「ブラジルの奇人」と呼ばれることも屡々ですが、その通りというか、それ以外の形容は不可能です。それも全て、音楽というものに無限の可能性を見たエルメートーにこそ相応しい呼び方なのです。

 

 

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