Ink Spots [Muddy Waters]
こんばんは、ごきげんよう、なんがでっきょんな?(僕の地元の讃岐弁で『こんにちは』の意)
大石です。
前回はトチ狂ったのか、人類学のようなところまで行ってしまいさぞ読む気の失せる文になっていたことでしょう。
挙げ句にトニーアレンについては微塵も触れていないまま終わりました。あのまま続けて書いてもよかったのですが、たぶん誰も読まないと踏んで中断しました。そして懸命な判断だったと自負しています。
今回は真面目に(前回はあれで真面目だったのですが…)音楽のことを書きます。
「オメエらはミシシッピを聞いたことがあるか?オメエらはマディ・ウォーターズを聞いたことがあるかい?ジョン・リー・フッカーはどうだ?Aをくれ」
これは有名なジミ・ヘンドリクスのMCですが、皆さんはマディ・ウォーターズを聞いたことがあるかい?
マディは50年代から活躍したブルースマンで、ロックンロールの歴史の非常に重要な役者として有名です。
マディがブルースにエレクトリックギターを持ち込まなかったら、現在のロックは未だにバンジョーを弾いていたかもしれません。
有名な話で、図書館に資料として置くためにブルースのレコード(SP)を作成していた白人が、ロバート・ジョンソンを探していたがジョンソンは既に亡くなっていて、代わりに録音したのが無名時代のマディだったという話があります。
「デルタブルース」の歴史資料としてジョンソンの代役はマディだったのです。デルタブルースの詳しくは様々なブルース系書籍を参考にしていただきたいですが、アメリカ南部のデルタ地方で歌われていた黒人のカントリーブルースのことを指すと思ってください。
ブルースは主に田舎の地方で黒人ギタリストやシンガーによって演奏されていました。最も手軽な伴奏楽器としてアコースティックギターが好まれて使われていました。
これらはカントリーブルースやフォークブルースと呼ばれていました。
マディはギターの弾き語りで世に出、人気が出るとバンドスタイルで演奏するようになるのですが、ドラムやピアノと一緒に演奏するにあたりブルースにエレキギターを使い始めます。
これによって日々のちょっとした情景を紡いでいた今までのフォークブルースが、力強い男のブルースや泣き叫ぶようなスライドギターや、エロスや衝動を表現する音楽に変化していきました。
僕は、もうそれは既に「ロック」が生まれたと等しいと思っています。
ロックとはエレキギターであり、ブルースそのものだと思うのです。