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村上春樹とジャズ [ノルウェイの森②]


ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。前回に引き続き村上春樹の代表作「ノルウェイの森」について扱っていきたいと思います。

 

生きているので記事を書きます。

前回の記事を読んで頂ければわかると思いますが、今回もビル・エヴァンスです。

 

そしてドライヤーで髪を乾かしながら、本棚に並んでいたビル・エヴァンスのレコードをとりだしてかけたが、しばらくしてから、それが直子の誕生日に彼女の部屋で僕が何度かかけたのと同じレコードであることに気づいた。

197頁

前回と同じ曲を貼るわけにもいかないので、勝手に選曲します。
ビルエヴァンスの中で最も好きな曲を。

 

Bill Evans – Spartacus Love Theme

 

小説の時代は学生運動が盛んだった60年代です。

どんな物語かと問わても、なんと答えていいやらわかりません。
人によっては、ナルシストが色んな女と寝るだけの小説と答えるでしょう。そして実際その通りなのです。
もちろん他にも表現の仕方はあります。汲み取るものがあるのは共鳴するからなんでしょうけれど、汲み取りたくても好き嫌いがあったり、人生経験に差異があるので、ただ退屈な小説に感じる人がいて当然ですね。例えば僕とか。僕とか。

小説が出版されてから、社会現象となり、若いカップルの間で文学作品が扱われるという、今では考えられないようなことが起きていたそうです。

 

ビルエヴァンスはクラシックの印象主義音楽あたりに大きな影響を受け、その要素をジャズに溶かし込んだ、洒落たセンスのスーパーピアニストです。
もはや説明不要でしょうが、その音色が世界に与えた影響は計りしれません。

 

曲に移りましょう。とても繊細で美しい”織り物”のような曲です。どうやったらこのようなアレンジになるのか、わかりません。
スパルタカスという映画の曲のアレンジだそうです。映画界の大巨匠、スタンリー・キューブリックの映画で、監督の為に作曲家がわざわざ作った曲だそうです。原曲も大変美しくて胸が詰まります。

 

原曲がこちらですね。

 

ですが、ビル・エヴァンスのアレンジには「感動」や「壮大」以上の何かがあります。

夜のような曲でありながら、朝も感じます。マジックアワーや日の出の雰囲気ではなく、朝と夜が同時にあるような、絶妙なアレンジです。

寝る前にでも、恋人といる時にでも、ドライブで遠くに来てエンジンをとめて黄昏ながら、早起きして珈琲を飲みながら、夕日が沈んでゆくのを見守りながら、聴いてみては如何でしょうか?
どんなシチュエーションにでも合います。感情の揺らぎや時間帯、四季を変えて1曲を楽しんでみるのも、新しい音楽の楽しみ方かもしれません。





harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。

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