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村上春樹とジャズ [蛍・納屋を焼く・その他の短編②]


ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。「螢・納屋を焼く・その他の短編」からもう一つ紹介します。

 

「踊る小人」という話です。

この話は短編なのに解釈が少し難しい。春樹的に言えば”些か難解”です。

主な登場人物は主人公(男)、夢に出てくる小人、いい女、老人。

象を作る工場で働いている男が国中の官憲に追われるまでを書いたファンタジーな内容ですが、後半にグロテスクな描写があります。

たくさんの解釈がありますが、春樹の小説で「工場」といえば「システム」のことを指している場合が多いように思います。そして「象」は「像=作品」で、工場で象を作る=商業的な作品なのかな? なんて解釈が出来る気がします。この作品が「表現」なのか「便利」なのか。

そして踊る小人は悪魔のような存在で、「魂を売る」のような神話や童話で出てくる象徴的な存在です。デルタブルースでもありますね。

社会風刺として捉えるか、現代の説話として読むか、それぞれの楽しみ方があると思います。

 

曲紹介に移りましょう。

「おかげでグレン・ミラー・オーケストラのジャケットにローリングストーンズのレコードが入っていたり……」83頁

 

グレン・ミラー・オーケストラ-In The Mood

 

誰もが耳馴染みのある曲ですね。

グレン・ミラーはアメリカのトロンボーン奏者、作曲家で絶大な人気を博しました。

そして第二次世界大戦に伴い、陸軍航空隊に慰問楽団を率いて演奏していました。

彼の死亡説は幾つかあって、爆撃機の爆弾が当たった、誤射撃墜された、娼婦とヤっている時に心臓発作になった等、様々な説がありますが、明らかになっていないそうです。

イン・ザ・ムードはビルボードで12週連続で1位を記録し、他にも多数の名曲を生み出し、スウィングジャズ、ビックバンドミュージックの代表的な人物になりました。

 

青年時代には生活が苦しく、トロンボーンを質屋に入れるなど、苦労の末に名誉を手に入れた人でもあります。

彼の作る曲は雨上がりやドライブで気分を変えたい時にピッタリではないでしょうか?

 





harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。
http://harumati.jimdo.com/

― 連載コラム:村上春樹とジャズ ―
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