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村上春樹とジャズ [ノルウェイの森④]


ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。ノルウェイの森、下巻からヘンテコで偉大なピアニストを紹介します。

 

まずそのピアニストが登場するあたりの物語に軽く触れます。

 

ヒロインは直子という女性ですが、準ヒロインとして「緑」という子が登場します。映画では水原希子が演じていました。

ヒロインとはベクトルの違う変わった子で、純粋である部分が違います。

新宿の飲み屋に主人公が緑を誘って、飲みながら会話をするシーンです。
緑のことを知りたいと主人公が言うと、「目をそむけたくなっても?」と返され、彼女がワケありであるかの様な線が出てきます。そして少しだけ沈黙します。

 

僕は黙ってセロニアス・モンクの弾く『ハニサックル・ローズ』を聴いていた。

62頁

Thelonious Monk – Honeysuckle Rose

 

セロニアス・モンクは40年代から活動していたアメリカのジャズピアニストです。

アメリカ映画の巨匠、クリント・イーストウッドがドキュメンタリー映画を制作したことでも有名です。

セロニアス・モンクは僕の中では変態的なイメージです。
音楽に拘わらず、小説、演劇、テレビ番組、日常会話でも「間」というのは、とりすぎや、スタンダードな抜きかたをしないとある種、不快になります。

そして、「間」以外のところは、音楽だとメロディーやリズムがあります。
そのメロディーやコード、つまり音の重なりに聴き易い、わかりやすいものを持ってくることによって、「間」の意味がより強調されると思うのです。

ですが、モンクは「間」の取り方が変ですし、「間」以外のメロディーやコードも変化球を投げてくるので、言葉で表そうとすると、「不快」が適切です。

その音楽が偉大であり、彼は数多くのスタンダードを生み、マイルスやコルトレーンと並んでジャズの重要人物として語られている。

これは僕のようなトーシローが言葉で表すよりも、聴いて頂ければわかることだと思います。

不快というのは面白いということが、簡単に理解できます。





harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。
http://harumati.jimdo.com/

― 連載コラム:村上春樹とジャズ ―
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