村上春樹とジャズ [カンガルー日和①]
ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。 今回は短編集「カンガルー日和」です。
村上春樹の魅力といえば……沢山ありますが、短編集の質が非常に高い作家の一人だということが挙げられると思います。短編集「カンガルー日和」を前編後編にわけてジャズドラマーを2人紹介していきたいと思います。
まず曲紹介の前に短編集の話を少し。
カンガルー日和の中でも一番の人気を誇り、今まで発表された春樹の短編の中でも根強い人気を誇る話があります。
「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」という話。
この話は世界的にも有名で、海外でこの短編の自主制作映画がYouTubeに幾つもアップロードされているらしいです。
100パーセントの女の子とは主観的なもので、人によって好みが違うこと、つまり自分の中での100パーセントが誰にでもあることが誰にでも共感しやすいのだと思います。
それは自分の年齢によって、体調や気候にさえ左右される感性や思想が、これは100%だ!と直感的に感じることの、いわばロマンです。
とても短い短編で5分もあれば読めてしまうので、書店で立ち読み又は図書館などを利用して空き時間を潰すのもいいかもしれません。
前置きが長くなりましたが、ここから本編に移ります。
「サウスベイ・ストラット―ドゥービー・ブラザーズ「サウスベイ・ストラット」のためのBGM」という短編から2人のジャズドラマーを紹介します。
この短編自体が7頁という短さなので、物語を少しでも語るとネタバレになってしまいそうなので簡潔に述べます。
南カルフォルニアのサウスベイの話。
「ふたつの銃声がジーン・クルーパとバディ・リッチのドラム・バトルみたいにかさなりあい……」195頁(ハードカバー版は183頁)
ジーン・クルーパとバディ・リッチという2人のジャズドラマーの関係などを後編で紹介していきたいと思います。
ライター: 山本 春町 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター こう見えても文学少年。 下ネタ大好き。変なやつ。 http://harumati.jimdo.com/
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