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村上春樹とジャズ [回転木馬のデッド・ヒート③]


ジャズと関係が深い日本を代表する小説家 村上春樹。彼の作品から、ジャズやソウルフルなブラックミュージックなどが登場する小説を紹介します。回転木馬のデッド・ヒートからあと一つ紹介したいと思います。

 

この短篇集の中では、個人的に「雨やどり」という話が一番好きなのですが、その話にはジャズが出てこないので、ざっと内容だけ書かせてください。

雨やどりの主人公は、村上春樹が過去にインタビューを受けた大手出版社の、女性週刊誌の編集者で、雨やどりしていたらたまたま同じバーで飲んでいて、「覚えてます?」と声を掛けてきたところから話がスタートします。
雑誌のスクラップが決定し、人事異動に嫌気がさし、退職し、再就職するまでに援交をします。一時的に。(援交が一時的なもの?)

彼女は毎回見事に金額を言い当てます。金額とは、相手が自分に支払うであろう金額です。
獣医相手には七万。安くて四万。
そして別れ際に村上春樹が彼女に”仮に”僕が誘ったら幾ら? と聞き、「二万」と言います。
春樹の財布には三万八千円入っていたそうです。
「二万プラス、ホテル代プラス、ここの支払い、そして帰りの電車賃、そんなもんじゃないかしら?」

 

 

「嘔吐1979」という短編から1曲紹介します。

この話は、春樹の一度だけ仕事をした若手イラストレーターが、或る日から無言電話が鳴り続き、その電話の前後、毎回もれなく嘔吐し、それが四十日間続いたという話。
イラストレーターは友人の恋人や奥さんとセックスすることが好きで、一度もバレずに何人か”人の女”と寝てきたらしく、その友人の誰かからの嫌がらせではないかと考えるも、完璧な浮気だから見当もつかないのだそうです。強迫観念が呼び起こした幻なのか。

 

…そのとき僕はエロール・ガーナーの『コンサート・バイ・ザ・シー』を聴きながらもらいもののシーグラムVOを飲んでいました…

127頁

Erroll Garner – Autumn Leaves (Concert By The Sea, 1955)

エロール・ガーナは楽譜が読めず、独自の音楽理論で人気をはくしたアメリカのジャズピアニストです。




harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。
http://harumati.jimdo.com/

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