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音楽留学報道局 L.A.支局 Vol.11


さあ目的のフレンチメンストリートです。

フレンチクォーターの端から伸びる青で囲っている僅か2ブロックに10ほどのバーがあり連日連夜熱いライブが行われています。
ジャンルはジャズ以外にもR&B、ブルース、ファンクなどが演奏されています。ほとんどのお店が一晩に1バンドだけでなく、16時から18時、18時から22時、22時から深夜2時、など2バンドか3バンド持っています。
なのでここの通りを歩いていれば音楽好きなら必ず自分の好みのバンドが一晩のうちに見つけられると思います。

 

またステージは外から覗けるようになっている配置のお店がほとんどで、どんな演奏をしているのかお店に入る前に確認することができます。
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この通りにあるThe Maisonというお店で見たSmoking Time Jazz Clubというバンドがぼくはとても好きになりました。
トラディショナルジャズをベースにバンドの独自のカラーを出していました。

このバンド以外にも若手のトラディショナルジャズバンドはたくさんいて、トラディショナルジャズ好きにはたまらない通りです。

 

若手のトラディショナルもいいのですがベテランのトラディショナルも聴きたい!
ぜひPalm Court、そしてPreservation Hallへ行ってみてください。

Palm Courtはレストラン、バーでノーチャージまたはかなり安いチャージでベテランのトラディショナルジャズを聴くことができます。

また言わずと知れたトラディショナルジャズの殿堂Preservation Hallは飲食物の販売は一切無しの純粋にトラディショナルジャズだけを提供するお店です。
ホールというと大きなところを想像されると思いますが、18世紀中頃に建てられたとても小さな小屋のような建物です。

若手ミュージシャンの演奏がエネルギーに充ち満ち溌溂とした外側から踊らされるように感じるのに対し、ベテランミュージシャンの演奏は熟練しとても渋く美しく内側から沸々とリズムが湧いてくる、そんな印象でした。

 

今回のニューオリンズでのぼく個人の出来事なのですがここでぜひ紹介させてください。
Tin Men、そして自身のリーダーバンドWashboard Chaz Blues Trio、他たくさんのライブで毎夜活躍するミスターWashboard Chaz。
Chazは毎年横浜で開催されている横浜ジャグバンドフェスティバルへ昨年Tin Menとしてゲスト出演されていました。
そのときぼくは東京カンカンリズムというバンドでウォッシュボードで演奏していました。その演奏をたまたま会場で見てくださっていたChaz。演奏が終わると会場でただ一人スタンディングオベーションをしてくださいました。

Tin Menの演奏をみたぼくはChazの美しく響くウォッシュボードの音色に虜になり、一緒に写真を撮ってもらい、来年ニューオリンズへ会いに行きますと約束していました。

 

そして訪れたニューオリンズ。
Chazと再会することができ、さらにWashboard Chaz Blues Trioのライブでは飛び入りさせていただき一緒に演奏させてもらいました。

とても感動でした。
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ロサンゼルスでもトラディショナルジャズのバンドはありましたがニューオリンズで鳴っているそれとはまた毛並みが違いました。
ニューオリンズは良い意味で土臭く、歴史を受け継いできているというどこか重みのようなものを感じました。
もちろんロサンゼルスの音楽が劣っているという意味ではありません。どちらも最高の音楽が鳴っています。

 

ぼくはここ1,2年前まではトラディショナルジャズはほとんど知りませんでした。
いまトラディショナルジャズそしてスウィングを演奏するようになり、ある違和感を覚えました。それはジャズを始めるミュージシャンがビバップから始めるということです。

しかし、ジャズはニューオリンズで生まれシカゴ、ニューヨークで育ち、そして新たにビバップを生みだしました。

ジャズを演奏するミュージシャンとしてビバップ以前のジャズを知らないということはあまりに順序を飛ばしていると思うようになりました。実際聴くようになり演奏するようになると新たな気付きがたくさんあります。スウィングとはこういうことなのかと少し真理に近づけたような気もします。

日本のジャズシーンの層を厚くするため、さらなる発展のため、ぜひトラディショナルに興味のなかった方も一度源流を辿ってみるのはいかがでしょうか?

 

今回で11回目となるコラム。
アメリカの音楽の魅力、ロサンゼルスの魅力、アメリカで音楽をする魅力が少しでも伝わっていれば幸いです。
みなさんの音楽生活がこれからも充実していきますように、そして日本のジャズがこれからももっと充実していきますように。

また何かの機会でみなさんにお会いできるといいなと思っています。
今まで読んでいただき本当にありがとうございました。

たきざわあつき




takizawaatsukiライター:たきざわあつき
 栃木県生まれ。小学生のころよりドラムをはじめ、高校卒業後は神戸にある甲陽音楽学院にて学ぶ。2012年に上京し矢野忠氏と出会い古いスタイルのjazz,swing,jiveに出会い、傾倒していく。幅広い対応力を持ち、ジャンルを限らず様々なスタイルで活動中。

― 連載コラム:音楽留学報道局
・ 音楽留学報道局 L.A.支局 Vol.10 (たきざわあつき著)
・ 音楽留学報道局 BOSTON支局 Vol.12 (原ゆうま著)
・ 音楽留学報道局 L.A.支局 Vol.9 (たきざわあつき著)
・ 音楽留学報道局 BOSTON支局 Vol.11 (原ゆうま著)
・ 音楽留学報道局 L.A.支局 Vol.8 (たきざわあつき著)
・ 音楽留学報道局 BOSTON支局 Vol.10 (原ゆうま著)
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