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Ink Spots [Muddy Waters]


 

その後のミュージシャンは挙ってエレキギターを手にして思い思いのスタイルを開拓していくのですが、最もマディに近くマディから遠くに行ったのがジミ・ヘンドリクスだったと思います。
ジミはマディのブルースを未来のブルースにしてしまったのですが(もちろんマディからの影響だけではないですが)、基本的には「ブルース≒ロック」の図式がハッキリと見えます。

 

マディが残したものと、後のミュージシャンのカバーものとを聴き比べてみると楽しいかもしれません。

https://www.youtube.com/watch?v=gw-v7jYTh9U

 

マディは自分の作り上げたスタイルが、白人や黒人、アメリカのみではなく世界中で広がっていくのを知ってどう感じたのでしょうか。

一つの答えが「Electric Mud」という作品に繋がっています。
このアルバムは、逆にマディがサイケデリックロックに影響されて作ったものですが、内容はジミやクリームのようなギターサウンド、ローリングストーンズのカバーなどが納められており、マディの作品の中でも異色中の異色になってます。

 

ブルースファンからは敬遠されがちなこのアルバムですが、ブルースロックに完全にノックアウトされていた大石少年にとっては、まさに聴きたかった世界でした。

それは中途半端と言えば中途半端な、やりきってない感じ満載なのですが、マディの自信満々な、脂の乗りきったボーカルはいまだに圧倒されます。

何故ならマディがオリジナルなのだからです。
タイトルも収録曲もジャケットも、最高です。

このアルバムが無かったとしても、マディは最初からエレクトリックマッドだったのです。

マディが最初にエレキギターでブルースした瞬間から、世界中の若者が「電気でイカれた」のですから。

前回のコラムにも書きましたが、マディのエレキギターが世界を痺れさせた衝撃を超える楽器が発明されるまでは、エレキギターは古くさくなるわけがないのです。

マディの親父を超える存在は、そう簡単には現れないのです。

 

おしまい





oishiyuライター: 大石 悠
 鍵盤奏者。幼少の頃から両親の影響でレコードを愛聴。特に生前の時代である60年-80年代のブラックミュージックシーンに魅力され、人間味のある泥臭くもパワフルな演奏スタイルを持つ。即興ジャムオルガントリオ"MYM",他セッション、サポートでも活動中。

― 連載コラム:Ink Spots ~All about JAZZ I think~ ―
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