The Distance Between Zero And One vol.7
現在、サンダーキャットのアルバムはミニアルバムも含め3枚発表されているのですが、その中から2曲ご紹介。
Thundercat – Is It Love?
1stアルバム「The Golden Age Of The Apocalypse」より
Thundercat – Oh Sheit It’s X
2ndアルバム「Apocalypse」より
曲を聞いてみると彼の異常なベースのフレーズが冴えわたりながらも、ヴォーカルが入ることによってキャッチーになり楽曲が重くなりすぎることはなく、それでいてクラブミュージックやジャズ的感覚も盛り込まれ、現在のビートミュージックシーンにも対応するたぐいまれなる作品であると思います。
これもサンダーキャットのセンスや音楽的素養の高さから生まれたに違いないのですが、これらのアルバム制作のプロデューサーにFlying Lotusを迎えていることも大きく関わっています。
ではこれらのようなアルバムの楽曲を実際にライブではどのように演奏するのかというと、一番初めにお見せした動画のように生演奏で演奏してしまいます。
実際のライブ映像はこちら。
Thundercat performs “Them Changes” – Pitchfork Nightcap
動画を見ていただいて驚いた方もいらっしゃるかもしれませんが、この動画ではたった3人のトリオ編成でアルバムの曲をやってのけます。おそらく並大抵のミュージシャンがサンダーキャットの曲を同じトリオ編成でやったとしても成立しないでしょう。トリオ3人それぞれが独立し、強烈な存在感を放ち、一体となっているこのトリオは本当に恐ろしいです。層の薄さなどはまったくもって感じられませんね。
そしてこのコラムで紹介するライブ動画では珍しく、PCや打ち込みの音源が全くないのです。
このライブを見ればサンダーキャットのライブには今のところPCや打ち込み音源は必要ないと聞いていて思いますし、サンダーキャット本人も今のこの状態が自分自身を表現することに適していると思っているのではないでしょうか。
アルバムという形で作品を残すことを考えればサンダーキャットとは違う観点を持ったFlying Lotusと共作してエレクトロニックなサウンドを取り込んでいくことは自然なことですが、ライブ形式で彼が表現したい音をノータイムで表現するにはエレキベースで演奏して仲間のミュージシャンとセッションすることがが彼にとって一番自然なのでしょう。
ここで個人的な希望を書かせていただきますと、今のライブの生演奏の感覚を維持しながらエレクトリックなサウンドを少し追加したサンダーキャットのライブもみてみたいです!!
でもそのためにはサンダーキャットの要望に応えうるテクノロジーが生まれるのを待つしかないでしょうね(笑)
今回ご紹介したサンダーキャット以外にも素晴らしいミュージシャンがたくさん所属するBrainfeeder。
これからも注目していきましょう!
今回のコラムはこのへんで終わりにいたします。
最後までご覧いただきありがとうございました!
ライター:奥村純平 京都府出身。小学校4年生のころ、担任の先生にドラムを教わったことからきっかけにドラムを始める。中学高校時代は吹奏楽部に所属し、大学在学時に音楽活動をスタートさせる。現在はジャズドラマーとしての活動のほか、自身が傾倒する電子音楽の活動への道も模索中。OUTofJAZZをご覧の読者なら周知のスクエア・プッシャー フリーク。
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― 連載コラム:The Distance Between Zero And One ―
・ The Distance Between Zero And One vol.6
・ The Distance Between Zero And One vol.5
・ The Distance Between Zero And One vol.4
・ The Distance Between Zero And One vol.3
・ The Distance Between Zero And One vol.2
・ The Distance Between Zero And One vol.1