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The Distance Between Zero And One vol.4


こうやって文章をウェブマガジンに載せていただけている以上、コラムの冒頭や導入の仕方、つまり文章の「まくら」をどのようにするか自分なりに考えてはいるのですが、そんな事はどうでもいいです。

私は声を大にして言いたい。

皆さんにSquarepusherを知ってもらいたい。

というわけで前回に引き続き、Squarepusherをご紹介いたします。

 

The Distance Between Zero And One vol.3

前回のコラムでもご紹介した初来日のライブから約1年後「Music Is Rotted One Note」というアルバムを発表します。

このアルバムは彼が発表したほかのアルバムと比べるとかなり特徴的です。 というのも、それまでのアルバムは高速ブレイクビーツや彼のベースサウンドを特徴とした、いわゆるドリルンベースと呼ばれるジャンルの作品であったことに対して、この「Music Is Rotted One Note」は言うなればフリージャズです。

 

Squarepusher – My Sound

このアルバムはすべての楽器を自ら生演奏して収録した作品で、全体を通して聞くとジャズ的アプローチが非常に強く、それまでの作品がキャッチーに聞こえてしまうほど抽象的でカオスなサウンドに仕上がっています。 インタビューによると彼はレコーディングスタジオに入る前で細かい決め事をせず、レコーディングはアドリブ(即興演奏)で自然の成り行きに任せ、その後のミックスで様々な実験を行った結果がこのアルバムになったそうです。(同インタビューで60年代半ばのジョン・コルトレーンに影響を受けていると発言しているのもとても興味深いです) この手法をとったからこそジャズ的サウンドの中で彼のダークな部分が生きたアルバムになったのだと思います。

 

インタビュー記事リンク:http://rittor-music.jp/sound/feature/2009/10/139

 

このアルバムの後にも別名義Chaos A.D.でのアルバムや、生演奏主体のアルバム「Budakhan Mindphone」、打ち込みによる作曲が復活した「Selection Sixteen」などが発表されます。 ですがこの「Selection Sixteen」を最後に初期のころから使われてきた機材は「できることはすべてやりつくした」として古い機材は処分し、新しいハイテク機材を導入していくようになります。

そして2001年「Go Plastic」というアルバムが世に生み出されます。 その1曲目を皆さんにご紹介します。

 

Squarepusher – My Red Hot Car

シングル盤でも発売されたこの曲はSquarepusherの曲の中でも特に人気が高いです。 この曲から始まる「Go Plastic」はハイテク機材による音楽制作が可能にしたデジタルで攻撃的なサウンドであり、アナログな方法では成し得ない緊張感もあって、実に痛快です。 まるでSquarepusherがそれまでの製作で使われていた機材による拘束から解き放たれた かのようで、前衛的でありながら以前のアルバムでもあった強烈なブレイクビーツや電子音が突き刺さります。

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