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The Distance Between Zero And One vol.6


編集部の皆様へ。
この度は宣言もなしに3回連続でスクエアプッシャー特集をして申し訳ございませんでした。
正直に申し上げますとあの時は感情が高ぶっていたといいますか、ヤバイと思ったのですがその感情を抑え切れませんでした。
以後、気をつけるよう努力いたします。

 

ところで、読者の皆様は行かれましたか?
スクエアプッシャー単独来日公演。
スクエアプッシャーが自身で構築した新しいソフトウェアによって生まれる完全ライブエレクトロニックミュージック。
アンコールでは彼の生ベースでIambic 9 PoetryやTetra-Syncが聞けたのは涙モノでしたね。本当に行ってよかったなあ。
本来ならこれからライブについての感想や、僕がライブ会場で買ったスクエアプッシャーTシャツの自慢をしたいところですが、こんな僕でも「我慢」という言葉を知っています。

が-まん [我慢]
 [名・形動](スル)
  耐え忍ぶこと。こらえること。辛抱。

(goo辞書より)

「我慢」って元は仏教で煩悩の1つで慢心、高慢であることを言うらしいですよ、奥さん。
どうでもいいですね。

 

今回も生演奏とエレクトロニックミュージックをつなぐアーティストをご紹介していきます。

今回はこの方、Taylor McFerrin(テイラー・マクファーリン)
電子音楽の製作のほかにも鍵盤楽器やボイスパーカッションも演奏しています。
ちなみに第1回のコラムで少しだけ紹介しましたFlying Lotusが主宰するレーベルBrainfeederに所属しているミュージシャンです。

ジャズ好きの方ならピンと来る方がいらっしゃるかもしれませんが、彼は世界的ジャズヴォーカリスト、ボビー・マクファーリンのご子息でございます。

そんな父親を持つ彼の音楽はHip-Hop、ジャズ、R&B、クラブミュージックなどなど様々なジャンルからの影響を受けており、とても一言では言い表せないです。
ですがそれは彼の音楽が複雑で理解しがたいものだと言いたいわけではなく、確実に彼の中で咀嚼し消化されて彼自身の音楽となっているのです。

 

コラムというものを連載させていただけている私が言うのはなんですが、曲を聴いていただく前にぺらぺらと感想をたれるのはあまり好きではないです。

百聞は一見にしかず。いや、この場合だと百聞は一”聴”にしかずかもしれませんね。
とにかく曲を聴いていただきましょう。

Taylor McFerrin – ‘Decisions’ ft. Emily King

この曲ではボーカル以外はすべて彼が製作、演奏したもので、音の一つ一つが丁寧に作りこまれ電子的なアプローチをしながらも人間の暖かみも感じられて、とても心地よいです。
これほどクオリティの高い曲を作れる彼なのですが、この曲が収録されている彼の1stアルバム、「Early Riser」はテイラーだけで曲のすべてを製作しているわけではありません。

 

実はこのアルバム、参加ミュージシャンの豪華さでも話題となっています。

彼の父親、ボビー・マクファーリンをはじめ、ジャズ界だけでなくR&B、Hip-Hop界でも活躍をするジャズピアニスト、ロバート・グラスパー、同レーベルBrainfeederからスーパーベーシスト、サンダーキャット、他にもセザール・カマルゴ・マリアーノ、ナイ・パームなどなど、そうそうたるメンバーなのですが個人的に一番注目しているのはアルバムの全13曲のうち6曲に参加しているジャズドラマー、マーカス・ギルモアの存在です。

マーカスの超絶的なドラムはテイラーが打ち込みで作ったビートと非常に対照的で、アルバム「Early Riser」全体のサウンドの方向性を決定付ける非常に重要な役割を担っていると思われます。

 

次に紹介しますのは、ロバート・グラスパー、サンダーキャット、そしてマーカス・ギルモアが参加したこちらです。

Taylor McFerrin – ‘Already There’ ft. Robert Glasper & Thundercat

それぞれのプレイヤーたちの演奏スキルがとんでもないことは言わずもがなですが、これだけジャズなメンバーを集めてジャズっぽさを残しながら、決して一言でジャズだとは言い切れない、新しく、そして素晴らしい音楽に仕上げてしまうテイラーのプロデュース能力の高さや、デジタルとアナログをどちらも扱えるバランス感覚の良さには脱帽です。

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