Standard was born [St.Thomas]
セントトーマス島は人口48000人、面積は82平方キロメートルという小さな島です。
82平方キロメートルというと日本で言う宮古島の約半分です。
人口の約70パーセントはアフリカ系で島はというと急勾配の坂だらけ。
この辺りはさんご礁がとても有名でセントトーマス島も毎日豪華客船が数隻入港し、そこから何千という乗客が島に押し寄せます。
レストランや免税店、観光スポットは観光客でいっぱいです。
そして午後5時近くになると観光客はいっせいに引いて次の島に向かいます。
豪華客船に乗ってカリブの島を旅するなんて最高の贅沢です。
いつかこんな旅が出来たらと憧れます。
ただそこで日常生活を送る人々にとっては不便なことも多いようです。
ヴァージン諸島は1666年から1917年はデンマークの植民地で1917年に2500万ドルでアメリカに買われました。
それには第一次世界大戦時のアメリカ軍の戦略も大きく関係していました。
そういった事情もあり地元の住民に市民権や自治権が与えられるようになるまでには時間がかかりました。
ロリンズの母方が生活していた頃というのは考えられないくらいに不自由な生活を強いられていたのではないでしょうか。
島での生活に希望は感じられず、希望を求めてアメリカ本土に移住したのかも知れません。
不自由な生活から生まれてきたのがカリプソという音楽です。
もともとは奴隷同士のコミュニケーションの手段だったようです。
支配者たちの検閲にあいながら、その中で比喩や暗喩を用いてより鋭い音楽になっていきました。
カリプソというのは明るく楽しいリズムとメロディの音楽です。
でも背景を知ると明るさの裏側にある憂いが見えてきます。
ロリンズが自身のルーツに興味を持ちカリプソという音楽を取り上げるのは辛い体験を持ちながら自身を育ててくれた母親への愛情かもしれません。
ライター: 駒村俊弥 1988年生まれ。ベーシスト。都内を中心に活動中。ミュージシャンという枠にとらわれず、自分の生き方や発言で自分の哲学を表現できるように日々奮闘中 HP:http://bbbaasss.web.fc2.com/ blog:http://ameblo.jp/a-einstein1955/
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