偉人追悼 [Paco de Lucia]
ジャズの世界でも知られるようになったのは、「スーパーギタートリオ」や”Spain”でもおなじみのピアニスト、チック・コリアとの共演がきっかけである。
この曲はパコのオリジナルとしてそれ以前にもソロ名義で録音された、スペイン語ではRio Ancho(広い河)として親しまれている名曲。
アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリンとのギタートリオは、1970~80年代、同時代のジャズギタリストたちをうならせたそう。
「究極の速弾き」というキャッチコピーで良いだろうか。ギター史上最も速い速弾き、を、トリオで繰り広げたのである。 このスーパーギタートリオでの録音はライブ録音の「Friday Night in San Francisco」が有名であるが他に、スタジオ録音の「Passion Grace & Fire」が残されている事はあまり知られていない。
どのジャンルであれ、ギタリストなら必聴の名盤である。
Friday Night in San Francisco(1981年) Passion Grace & Fire(1983年)
筆者は近年までスペイン・マドリードに住んでいたが、そこでパコのライブを聴きに行くという夢は残念ながら実現されなかった。
スペインでのライブは年に一度ぐらいしか開催していなかったそうだが、2人目の妻、 キューバ人のガブリエラ・カラスコと一緒にメキシコへと既に移住していたためだ。
カルメンの浜辺(Playa del Carmen)、という場所に住み、彼が先月26日に急死した時もそこにいた。
クラシック、ジャズ、ロック、フラメンコ、ジャンルを問わずギターを演奏する人は、必ず彼の演奏を聴いてほしい。彼は「ギター」という楽器を愛し、ギターの可能性を追求した巨匠である。
今頃天国で、カマロン・デ・ラ・イスラとの共演を再開しているのではないだろうか。
A mi guitarrista querido Paco de Lucía,
“Muchísimas gracias, nadie te olvidará para siempre. Gracias, adiós, Paco.”
ライター:PACO ガットギタリスト、ウッドベーシスト、作編曲家。本名・稗田隼人。 中南米やスペイン音楽が専門。スペイン・マドリードに約2年間留学し、現在は東京・つくばを拠点に活動中。共演者にバンドネオン奏者の啼鵬(ていほう)、アルパ奏者の今村夏海、上松美香など多数。
― 特別企画:偉人追悼 ―
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