facebook_icon.png twitter_icon.png

阿部薫論 哲学(1/2)


アングラシーンに凛然と輝く孤高の天才、阿倍薫の「速さ」「哲学」「快楽」について書いていきます。今回から阿部薫の哲学について考えていきます。

 

阿部薫は学生時代、成績は学年トップで、母親や妹はわからないことがあれば阿部薫に聞いたそうです。

十九歳の頃の自室の写真を見ると、平積みされた本が壁のようになっています。
相当な読書家だったようです。

ジャック・デリダというフランスの哲学者に傾倒していたようで、阿部薫の伝記を基に作られた映画「エンドレスワルツ」でこんなシーンがあります。

 

阿部薫の演奏を聴きに来ていた男が連れの女に
「フリージャズはフッサールの言うところのイデア性に於ける形式の形而上学なんだ。フッサールは<声と現象>って本を書いたフランスの哲学者で、現代の現象学の権威……」
と話しているのを後ろで聞いていた阿部薫は、
「<声と現象>を書いたのはデリダだよ。ついでに言っておくとさ、巷に氾濫しているような音楽がイデアなんだな。フリージャズってのは、そのイデア性を解体して……」

 

このシーンは実際にあったわけではなく、脚色されたエピソードです。
本当はただデリダの<声と現象>を渡しただけです。

 

イデアイデア性とはなにか?
そしてそれを解体するフリージャズとは?
これを次回書きたいと思います。



harumatiライター: 山本 春町
 映像クリエイター/ミュージシャン/ライター
こう見えても文学少年。
下ネタ大好き。変なやつ。
http://harumati.jimdo.com/

― 連載コラム:阿倍薫論 ―
・ 阿部薫論 速さ(3/3)
・ 阿部薫論 速さ(2/3)
・ 阿部薫論 速さ(1/3)
・ 阿部薫論 [はじめに]


Comments