2014年 私のBestアルバム vol.2
先週に引き続き年末の特別企画 OUTofJAZZ ライター3名づつによる今年のお勧めのBestアルバム3枚を紹介します!対象アルバムは新作・旧作問わず、今年お勧めするアルバムを解説付きで紹介!今週も幅広く様々なジャズのアルバムが紹介されていますので見ていきましょう!
たきざわ あつき
@音楽留学報道局 L.A.支局
Big Bad Voodoo Daddy / Big Bad Voodoo Daddy
ぼくが古いスタイルを好きになっていく入り口になったバンドBig Bad Voodoo Daddyのメジャーデビュ-アルバムです。30年代40年代に流行ったswingが90年代リバイバルされ流行ったneo swingと呼ばれるスタイルのバンドです。ぼくのお気に入りの曲はKing of Swing。sing sing singのイントロのようなドラムのタムのソロで入りピアノのグリサンドでバンドイン。ギターサウンドもホーンアレンジもメロディもNeo swingの王道をいくような一曲だと思います。
Moppin’ and Boppin’ (feat. Hilary Alexander)/ Jonathan Stout and his Campus Five
ロサンゼルスのスウィングダンサーの投票で決められたベストバンドTop10。その第1位がこのJonathan Stout and his Campus Fiveです。Big Bad Voodoo Daddyはビッグバンドスタイルをロック的な要素を入れて現代風なサウンドになっていますが、Jonathan Stout and his Campus Fiveは古いサウンドをそのまま現代に引っ張りだしてきた、そんな印象を受けます。古いジャズを聴いたことがない人でも楽しめる一枚だと思います。ぼくのお気に入りの1曲はゲストボーカルの入ったJudy。甘い歌声にとろけてください。
The Legendary Small Groups (Bluebird’s Best Series) [1996 Remastered] / Benny Goodman
古いジャズに馴染みがない人はBenny GoodmanというとDuke EllingtonやCount Basieと並びビッグバンドのイメージが強いかと思います。収録されている曲は古いジャズでは超スタンダードナンバーのsweet sueやdinahなど。このアルバムを聞くときは現代のジャズの演奏との違いをぜひ楽しんでください。ピアノのバッキング、ドラムの奏法など古いのですがとても新鮮。何か新しい発見があると思います。ぼくのお気に入りはwhere or when。これが流れている間、ウディアレンの映画の主人公になれます。
MEGOE
@ JAZZは旅に出る
Dharana / Between
先週ようやくレコードを手に入れました。素晴らしい作品です。 ドイツ産、現音?ニューエイジ?な1974年作。 オーガニック風に吹かれて宙を舞うシンセとパーカス。生っぽいけど全体的にとても深い。 今年はアンビエント、ニューエイジなど、まったりした感じのををよく聴いてました。 特にスパニッシュニューエイジにハマり、最近はギリシャ産にやられ、ヨーロッパはヤバいなと感じている今日この頃。
Overworld / A.r.t. Wilson
オーストラリア出身でMexican Summerからも出してるAndras Foxの別名義。 2014年カセットリリース作をGrowing Bin Recordsがレコードリリース。 薄いビートにフワフワっとした極上シンセ全開で夢見心地のチルアウト/ニューエイジ。 フィールド感もあり朝イチで聴くと解き放たれます。 80年代感満載で、こんなの現代にいるのかとニンマリ。全曲最高で愛聴してます。
Melodia / Alejandro Franov
アルゼンチン音響派の魔術師、フラノフの2005年作が新ジャケで再発。 フラノフといえば様々な生音楽器を天空に舞うかの如く気持ちよく重ねている印象でしたが、コチラはピアノソロ。 なんだピアノだけかよ、と聴いてなかったのですが、聴いたらドハマり。 音数は少なく響き渡り、神聖な空気も。なんだか救われます。間違いなくチルアウト。 これも目覚めの一発で聴いて、呼吸を整えて一日を過ごしたくなります。
大石悠
@Ink Spots ~All about JAZZ I think~
コンプリート・レコーディングス ~センテニアル・コレクション / Robert Johnson
初めて買ったブルースのCDはロバート・ジョンソンのコンプリートレコーディングス。二枚組で41テイクが収められていて「これが伝説のブルースマンか…よく、わからんのお」と思っていたところ、これに入っていない一曲があると知り「コンプリートできとらんでん!」と怒り狂った15歳の春…あれから少し経った今、とうとうもう一曲も含めた本当のコンプリート盤が!…三年前に出てたと知り、すぐにamazonで購入しました。音がクリアーになって、よりロバートの人間性が見えたような気がしました。しかも録音前の声まで入っているというボーナス付き!実際は小さな声で喋り、一瞬ギターを練習するだけの微かなものですが、これでまた伝説に一つ近づけたと思うとそれだけで嬉しかったです。しかも幻の三枚目の写真まで出回っていて、また中学生の頃と同じようにロバートに戻ってきた感じの今日この頃です。
もし皆んなが本当のことを知りたくなったら、ロバート・ジョンソンを聞いてみるのは手だと思います。これは80年ほど前に録音された未来の音楽です。
Overnite Sensation / Frank Zappa
フランク・ザッパの音楽は雑多でどれを聴いても違うテイストなのですが、どれもフランクの曲にしか聞こえないのです。デビューアルバムの現代音楽は衝撃で、つまりそれが好きとかカッコいいとかではなくて、ジミ・ヘンドリクスがアフロにしてイギリスでデビューし、ビートルズがアイドルを辞め、エリック・クラプトンがブルースヒーローで、マイルス・デイビスがスーツを脱ごうとしていた頃、新人のバンドが二枚組のデビューアルバムで本格的な前衛芸術をブチかましたのです。そのイカれっぷりが最高じゃないですか。
本作はジャズロック路線から急に全曲ボーカルもので自分もめちゃ歌っている、最高にファンキーなロックアルバムです。Montanaは永遠に聴ける一曲で、もちろんこの先もフランクしか考えつかない音楽になっています。入門編にもオススメ。
Raga Lalitadhvani / Amjad Ali Khan
インドの古典楽器サラードの貴公子と呼ばれるアムジャッドはどれを聴いても素晴らしく、インド古典がただワールドミュージックというだけでなく、一つのジャズとしてなんら変わらない音楽を聴かせてくれます。アムジャッドは何枚か持っているのですが、彼の弟子と一緒に演奏しているものは何となくレッスンを聴いているような気持ちになるので、このタブラとのデュエット作品を選びました。
彼のベストパフォーマンスはYouTubeにあるタブラのピンキーとのデュエットなのですが、未だ音源を突き止められていません。神に向けて演奏するインド人の底力を、アドリブ力の高さと無数の複雑なラーガの記憶力、それらを完璧に演奏しこなす技術に見ます。曲中でも御構い無しにチューニングし直すのもご愛嬌。神様はそんなことで怒ったりしないのでしょう。
ライター:Richie アシスタントライター 流行りモノ大好き日本人。 Keith Jarrett のTHE KOLN CONCERTをきっかけにジャズの世界へ。現在ジャズを勉強中。
― 特別企画:今年の私のBestアルバム―
・ 2014年 私のBestアルバム vol.1