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【Lowland Jazz】あの曲の Jazz Ver.【BigBand】


#3 Just A Game

原曲はtakamattさんのセクシーなナンバーで、お題は「Funk!」
そしてイケメン バベルタワーことAs丹沢誠二をフューチャーすることでした。

 

少しそれるのですが、スウィングというリズムは非常にその音楽に対して支配的なリズム/スタイルでジャズというジャンルの根幹を支えるものです。逆説的に言うとジャズ以外の音楽では全く用いられないので(近縁のリズムとしてはShuffle Beatなどがありますが)どんな曲であれリズムをスィングに変えて2-5進行をぶち込めばとりあえずは簡単にジャズアレンジとしてお茶を濁すことができるのですが、
ウチのボスはそういうことではなくビッグバンドジャズの色々な面、多様性を皆様に聴いていただきたいということで今回は16beatとなりました。

この曲のアレンジの一番のネックは同音の多さです
ボーカル楽曲の菅楽器カバーで一番障壁となるのがこの同音反復で、声の場合は歌詞が変わっていくので問題ないのですが歌詞をもたない楽器で演奏すると途端に間抜けな物に仕上がります。
極端なものだとラップの管楽器カバーなんて目も当てられませんyo。

なので初めにテンポをだいぶ落とす事をしました。それによって同音でもニュアンスなどによって歌心を込める余地が生まれました。(のはず)

 

このアレンジの裏テーマはHiphopと不協和音です。
スローな16ビートにこの曲のメロディーを思い浮かべた時hiphopビートは相性がよいのではないかと考えました(お題と乖離してきてますね笑)

片や私の最も好きなジャズアンサンブルのアレンジャーにGil Evansという方がいます。
この翁はMiles Davisとの共作で有名ですが自身でもジャズオーケストラを率いて精力的に活動していました。
とくに特徴的なのはその管弦楽的手法を極めたハーモニーで、木管楽器や金管楽器のミュートを使い明らかにぶつかったようなそしてマイルドな独特のサウンドを奏で、美とはなにかを諭してくれているような気がします。(個人的にはMiles Davisのアルバム Sketch Of SpainのConcert De Aranjuezは管楽の極地だと思います)

この二つの要素HiphopビートとGil Evans ライクなハーモニーを組み合わせたら面白いかなと思い今回のアレンジをしてみました。hiphopが持つグルーブとポップさ、不協和が生み出す美しさと理知性の共存は前述したギャップの話にも通じるものがあると思います。あえて真逆のベクトルのものをぶつける事でお互いの魅力が引き立つこともあるのかなと。
音楽も恋愛もギャップですね。(デジャヴ)

 

撮影は都内のライブハウスで行い、前曲から撮影で参加している奥田君が指揮をとって行いました。カット割りにこだわる奥田流でまた違った雰囲気の撮影となり、
メインの丹沢さんはずっと出ずっぱりでも顔色変えずに、引き換え私は前日遅くて襲いかかる眠気に対抗するために必要以上にノッたふりをして撮影中はずっと頭をふりまくってました(オフレコ)

 

#4 心拍数#0822

原曲はpapiyonさんの感動のバラード。
お題は『バラードコンテンポラリージャズ』
そしてニコニコ動画を中心に活動されているボーカリストのthatさんをフューチャー

 

まず初めに拍子を6/8拍子に変えました。これはスローテンポな4ビートというのは兎角重くなりやすくそこまで重たいものには仕上げたくなく、また憂い、切なさのなかに若干の清涼感をいれたいというのもありました。

thatさんは素晴らしいボーカリストなのでまずその良さをひきたたせるため、初めはボーカルとリズムセクションのみにして途中からホーンセクションが入ってくるという構成にしました。これによってボーカルが引き立つだけでなく、ホーンが入ってくる所で曲が引き立つためホーンの存在感もあがっています。(のはず)

前半のイメージとしてはFrank Sinatra と Count Basie Jazz Orchestraのコラボ楽曲が念頭にありました。

間奏のテナーサックスのソロで拍子が5拍子に変わりますが、これは間奏部分で緊張感が間延びしちゃうよりは拍子を一つ減らして体感テンポを上げてタイトに仕上げたかったという狙いでした。

なんでもかんでも劇的にしてしまうのが私の悪癖ですが、この曲でもそれは遺憾なく発揮されてます笑
こういう高揚とカオスのギリギリのラインのフィナーレが、見栄を捨てて本心をさらけ出しているようにみえて、私は一番好きです。

 

ちなみにこの曲は一曲通して徐々にテンポが上がっていく感じを出したかったのでレコーディングの際はクリック(メトロノーム)を使わずに一発録りをしたリズムセクションにホーンを重ねていきました。
冒頭と最後のキック等による連打は原曲の心拍に対するオマージュです。

撮影はTb高井天音さんの実家の教会(!!)でおこないまして非常に素敵なロケーションでした。撮影にはその日どうしても都合がつかなかったユーヨンPに代わりお父様であるグ・スーヨン監督が指揮を撮っていただき、まさかの御大登場に撮られるほうも緊張してました笑
本編では採用されなかったのですがアップライトピアノのダンパーの中に小型カメラを仕込んだりもしてとても興味深かったです。

 

アレンジというのは大局観的な面と(どのようなコンセプトで/アイデアで取り組むか)書法的な面(各楽器の音域だったりボイッシングだったり、理論的な面)の両面があると思うのですが、昔クラウゼビッツというドイツのおじさんが「戦略的失敗を戦術的成功で補うことはできない」といったように、書法的にいくらこなれていようとそもそものアイデアがつまらなかったらその曲は退屈なものです。
自分もそういう事に気をつけてこれからもやっていこうと思います。

そして、来る6/12日にLowland Jazz の1st Album 「hub_point」が発売になります! 今回紹介した曲の他にもっと美しかったりもっと尖ってたりする曲達が収録されてます笑 もしご興味がおありの方がおられましたら是非手にとってみて下さい!

 

CD予約
 http://www.lagoa.jp/shopdetail/000000001197/

 





yuyonライター:小島裕規
 作編曲家。国立音楽大学作曲科卒業。
 2013年よりLowland Jazzに参加 カバーする音楽ジャンルはラクダくらいは雑食。最近日光の必要性を痛感している。滑舌が悪すぎて内容の4割が通じていたら奇跡

― コラボ企画:Lowland Jazz ―
・ 【Lowland Jazz】活動紹介【ユーヨンP】


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