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このNoiseを聴け![HIROSHI HASEGAWA]


ルール無用 !!! 「凶悪フィードバック」

一般の音楽を聴く人、また演奏する人にとって、忌み嫌われる現象の一つでもある「ハウリング」。
あれを聴くと、皆さん誰でも脳細胞が悲鳴をあげます。

「ぎゃーーーーーーーーあ!」

ノイズミュージックでは、御法度 とされる音響的な回り込み現象である、この「フィードバック」を逆利用して、音楽的な表現に昇華させている例が見られます。
その必殺技の表現方法も、アーティストによって実に多彩のようです…。

 

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これは、アメリカのメーカーDODの問題児機種。
ペダルエフェクター「DOD fx33 buzz BOX」(生産終了)

オクターブファズの一種ですが、ハイゲインな上に、地鳴り型発振までするので、入力音源を狂暴な「バグ音」に変えてしまうカオスマシーン。
HASEGAWA氏は、この「DOD buzz BOX」等をはじめとする、特殊で「破壊的」なエフェクターに、シャウト用のボーカルマイクや、メタルプレートにコンタクトマイクを装着させた手製の楽器等からの出力を入力し、敢えて音楽的にハウリングさせ、そのフィードバック音をエフェクターの変調や、マイクへの「接触」、「振動」などによって、絶妙にコントロールしているのです…!

 

はい…。

もはや、神業の域に到達しているHASEGAWA氏のフィードバックコントロールですが、今回、著者がここでご紹介させていただいた音楽家 HIROSHI HASEGAWAの、演奏法やシステムは、もちろん、極々一部のものです。

実際の彼の演奏を現場で「体感」すると、システム的な分析など、どうでもよくなってしまう、その音のパワーに、只々圧倒されるでしょう。

今回の音楽カテゴリーは 「ノイズ」でしたが、HIROSHI HASEGAWAの音楽はすでに、 「ノイズ」という枠を超え、既成の音楽通念による限界を持たない、電子音楽からの新たな可能性への挑戦でもあるのです…。

 

では、最後に
2013年から女性エレクトロニクス奏者「rohco」を加え、ツインのユニットになった、「ASTRO」の演奏動画と、HIROSHI HASEGAWAのお薦めアルバムをご紹介。

複雑で多層的な、電子音の砂塵に包まれます。

 

「Cryptic void」(2013) (Hiroshi Hasegawa /positive adjustments)

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Hiroshi HasegawaとPositiv adjustmentsによるスプリットアルバム。 1曲目の「Cruel Street Goddess」では今回の記事で紹介した「EMS Synti」を駆使したダイナミックな演奏が堪能出来る。

さらに、 2曲目「Higher Than Mountain Heaven」では、荘厳かつ狂暴な残響空間が展開。異次元の断層を体験させる…。

 

 



uenokentaroライター:上野健太郎
 90年代初頭からCM,TV番組等の音楽制作に携わり後にフリーに。自らの音楽活動を電子音を使った意識拡大の研究活動へと集中させる。2014年にソロ活動と並行してシンセサイザーバンド「うつろ舟」をD-STYLE,miwtamらと結成。同年レーベル「IDM」に参加、在籍中。

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