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NOISEのある景色


“ノイズ”といえばみなさん何を想像しますか?
 ・テレビで深夜、最後の放送を終え、砂嵐の画面から出るザーって音(今もあるよね?)
 ・道路工事のズガガガガって音
 ・工場から発せられるガーンガーンみたいな音
 ・冷蔵庫のヴーって音
 ・レコードの針にホコリが溜まって滑ってズズズボボボボボボボーザーってなる音

 


本コラムは2015年4月1日のエイプリルフールに掲載されたコラムです。


そうですね、全てノイズといって差し支えないかと思います。
たぶん。

 

では、こちらはどうでしょう?
 ・車の走る音
 ・街頭モニターで流れるCM
 ・店頭で流れるBGM
 ・人が歩く音
 ・人の笑い声
 ・居酒屋のキャッチ

 

どれならノイズといっても差し支えないですかね? 大分考え込んでしまいます。
車の走る音はノイズなのかなー確かにうるさいよね。 街頭CMもうるさいよなー全然興味ないし。
店頭BGM。HIP HOPとかでズンズンいってますしね。
なんでしょう?うるさいとノイズなんですかね?
人の歩く音って。。。ノイズといったら大袈裟な気がする。
確かにカツカツいってる音とか走ってる音とかはちょっとヴォリュームがあるかもだが。
人の笑い声。。。絶対ノイズとはいわないでしょ。
居酒屋のキャッチは最早会話の一歩手前ですからね。

 

ではでは、ノイズってなんなのかWikipedia先生に教えてもらいましょう。

 ノイズ(noise) とは、処理対象となる情報以外の不要な情報のことである。雑音(ざつおん)と訳し、工学ではノイズと雑音は同義語である。西洋音楽では噪音(そうおん)と訳し、「騒音」や「雑音」と区別している。

 
ほほー。
情報だけど日本語訳すると音なんですね。
しかし処理対象となる情報以外の不要な情報ってなると、前述の音達は全てノイズに成りえますね。
まさか人から発せられる声までノイズとな。
意識の問題ですよね。言葉を借りるとどこを処理対象とするのか。

ちなみに前述の音達は渋谷のスクランブル交差点で一堂に介せます。
友達と久々に飲んで楽しく笑っていれば本人はいいが、隣の就職が決まっていたのに卒論NGで留年が決まってしまった子からすればノイズに間違いなし。
流行の音楽が街頭スピーカーから流れてても興味ない人にすればノイズ。
こんなところで他の人の足音に聞き入ってる人というのもまずいないであろう。
ノイズとはそんなものらしい。

僕は渋谷に行き、どんな音があるのだろうと録音していたのでその時はノイズではなかったはず。
それを家に帰って聞いてみました。
不思議だ。

 

ノイズといわれる音楽がある。
ノイズが録音されたCDなりレコードなりカセットなりがある。
ノイズを処理対象としてノイズを聞く。
摩訶不思議。

流れている音。
聞いている音。
聞こえてきてしまう音。
意識して聞き取ろうとして聞く音。

この記事を読んでいる時、あなたの耳には何が聞こえているでしょうか?
考えだしてしまったら既に意識改革。ようこそ。

 

フランスの作曲家Erik Satieは1920年に『家具の音楽』を作曲しました。

Erik Satie / Tenture de cabinet prefectoral

家具のようにただそこにあるだけの音楽。
そこにあっても生活の妨げにならない、意識的に聞かれることのない音楽。
Satieは生活の中に溶け込む音楽というコンセプトで作曲し、コンサートのプログラムに「休憩時に演奏される音楽は聞かないように」と記し演奏したが、演奏が始まると聴衆はおしゃべりを止め、聞き始めてしまったとか。

 

お次はアメリカの現代音楽家John Cage。
1952年作に『4分33秒』という曲があります。
第三楽章まであり、聞こえてくるのはクゥー…コトンっという鍵盤の蓋の閉じる音とか、楽譜をめくる…カサっという音だけ。

基本的に演奏しません。

その空間にある全ての音で完成されるこの曲。 なので、偶発的な咳払いや、しゃべり声、歩く音もこの曲の一部ということです。

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