facebook_icon.png twitter_icon.png

「NEWTIDE -Start in Life-」リリース特集


―― 先日専攻発売されたアルバム「NEWTIDE -Start in Life-」制作の経緯についてお教えください。

小野:毎年ニュータイドが力を入れていた行事 山野ビックバンドジャズコンテストを諸々の理由で今年は出場を辞退したという事もあり、代わりに「何か大きな事を成し遂げたい」「形の残るものを残したい」という気持ちがメンバー内で高まったところ、当時国立音楽大学の「音楽応用ビジネス」という集中講義の講師をしていた株式会社フロレスタンの佐藤さんに、授業中に軽い気持ちでニュータイドのCDを作りたいと話した所それが実現しました。
企画・楽曲の作曲・編曲・演奏(一部ゲスト除く)・ジャケットデザイン・ブックレットの中身まで全て国立の学生・ニュータイドのメンバーで完成させました。

 

―― レコーディングはいつ頃されたのですか?newtide_photo2

澁江:年始はじめの1月8.9日にレコーディングを行い、直前の集中練習は4-7日の4日間やりました。実は収録曲6曲のうちレコーディングに向けて2曲新調し、スコアをメンバーに手渡したのは集中練習初日の事です。

 

―― 随分とハードなスケジュールですね…

澁江:ニュータイドは感覚的に人と合わせる・感覚的に楽器を操るという事が元々得意としている人が集まっているので、譜読みの速さや短期間で仕上げるという事ができる 底力がニュータイドの強みでもあります。

石田:それでもAzure Blueのサックスセクションのソリは随分と苦労しました。形が見えてきたと感じたのは集中練習3日目の出来事。最後の1日でぐっと形になりその集中度合いは凄かったです。

 

―― 6曲中4曲オリジナルという攻めた内容のアルバムだなと印象を受けました。

澁江:ひとつのアーティストとして、ニュータイドにしか出来ないニュータイドのオリジナルナンバーでアルバム制作をするというコンセプトがありました。
東京JAZZで共演していただいた小曽根真(Pf)さんが「誰もが知っていて誰でも当然のように拍手する曲をステージで演奏して もらう拍手と、誰も知らない自分達がやりたいだけの音楽を演奏して感動してもらって もらう拍手というのは深さや暖かさの質が違うものなのだよ」と教えてくださり、東京JAZZでもニュータイドのオリジナルナンバーだけでステージを構成するという事に挑戦しました。
今回のアルバム制作においても同じ精神で、誰も知らない曲でもこれが自分達にしか出来ない音楽であると敢えてそこに挑戦しました。

 

start_in_life_jaket

―― 収録されている曲の作曲・編曲は全て今年度に書かれたものなのですか?

澁江:全曲今年度のオリジナルナンバー・オリジナルアレンジです。曲を書くとき各パートにいるメンバーの顔を思い浮かべながら楽譜に落としています。今年度のメンバー用に作った今年度のメンバーででしか出来ない曲です。

 

 

―― アルバム3曲目、オリジナルナンバーのAzure Blueの作成秘話についてお教えください。

澁江:大本となった曲は私が高校3年生の時に作りました。
国立音楽大学付属高校の1年生の頃からファンとしてニュータイドのライブに赴き、ずっとこのバンドを見てきました。大学に入ったらこのバンドで絶対ピアノを弾くんだという思いがあって、もし自分がニュータイドに入って、もし自分の曲をやってもらえる日が来た時の為にと作った曲です。
曲を作った直後、たまたまトロンボーン2管のライブがありコンボバンド用にアレンジをして、去年4月の2013年度デビューライブでビックバンド版にアレンジを書き直し、さらにアルバム制作に向けてfeat.本田雅人さん版にリアレンジし、この曲は完成形を迎えました。この形になるまで4年の月日がかかりました。

高校生の頃からニュータイドが好きで、ライブに通いつめている当時からニュータイドカラーというのを感じていました。この曲もニュータイドカラーを凝縮したような曲に仕上げる事が出来ました。

 

―― Azure Blueの中盤、リズムセクションからドラムが抜けリズムを刻むのがパーカッション(ジャンベ)だけになる箇所がありますね。

澁江:ドラムがリズムの基調となってパーカッションが色付けするというのが多くのビックバンドでのパーカッションの位置付けではありますが、私はドラムとパーカッションの2つがビートの根幹となってバンドを支えているイメージがあります。Azure Blueでは思い切ってドラムをなくしジャンベのみにする事によりオリエンタルな雰囲気を演出してみました。他のビックバンドサウンドと違う雰囲気を作る事を狙った点でもあります。

 

――アルバム4曲目、I have to say good byeでも同じ手法がカホンで行われていて、ドラムにクロスフェードする手法がとても興味深かったです。

澁江:それは私の趣味ですね(笑) ビートがパーカッションからドラムに譲っていくところは聴きどころです。曲の印象を大きく変えるのがリズムセクションであり、私はリズムセクションのピアニストでありリズムセクションのプロデューサーの立ち位置だと思っています。

 

――アルバム2曲目、Dare to doはゲストボーカルの吉田純也さんをフィーチャーの曲ですが、歌詞がブックレットに掲載されていません。どんな歌詞を歌っているのかお教えください。

澁江:自分を卑下し、ステージで自分をうまく表現出来ない男の子を皮肉って「スポットライトの下でやってみなよ」「どうせもう俺は無理だとか言うんだろ。知ってるよ、でもそんなんでもいいの?」という歌詞です。
今年1年間のニュータイドの活動は波乱万丈でした。ですがその波乱を楽しみながら乗り越えて演奏してきたという気持ちを込めて作りました。

 

newlife

―― アルバム最後のトラックのNew Lifeは何か皆さんの思い入れを感じます。

澁江:去年3月、来月からコンサートミストレスを務めるという時期にアントニオ・サンチェスの原曲に出会いました。初めて聞いた時ニュータイドカラーに作り直せる楽曲だと感じたことと、これからの1年に向けての意気込みの気持ちもあり心に来るものがありました。それから1年間、この曲は今年のニュータイドの顔として演奏してきた思い入れのある楽曲になり最後のトラックに収めました。

 

―― この曲は10分に渡る壮大な曲で色々なアイディアが詰め込まれていますね。

この曲は構成に非常に気を使いました。ビックバンドは豪華なサウンドを出せる所がビックバンド編成の強みであり、つい華やかで楽しいサウンドになりがちですが、思い切ってピアノとビィブラフォンだけの箇所を作るなどダイナミクスの緩急を激しく付けたことにより普通のビックバンドにはあまりないサウンドを持たすことが出来たと思います。

この曲のアイディアやオリジナルナンバーのアイディアは、ニュータイドを何年間もの間見てきて得たものです。ニュータイドを輝かせる為に歴代のニュータイドの作曲家が考えてきたアイディアを私も踏襲し、より昇華させるつもりで作曲・アレンジをしてきました。今回アルバム作りを通して形に残すことにより、これからの後輩たちにもニュータイドらしいビックバンドのあり方をわかってくれるのではないかと期待しています。

 

―― 次のページではニュータイドらしさとは、近年学生バンドの頂点に君臨し続けた核心に迫ります。

next_logo



Comments