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Ink Spots [Lonnie Smith]


こんにちは、秋の気配が香ってきましたがまだまだ暑い日が続きます。この時期は体温調節が難しくてついつい風邪をひきがちになってしまうので皆様お気をつけ下さい。
体温調節と言えば、たまに爬虫類のように寒くなると体の動きが鈍って冬眠状態になる人がいますね。はい、私を呼びましたか?その点、猫はいい・・・猫は常に居心地の良い場所を知っていますからね。

 

今回はロニー・スミスさんです。僕の大好きなオルガン奏者。
僕自身でたらめなオルガンを弾くことが多いので、誰か自分の感覚にしっくりくるオルガン奏者がいないものか探したものです。
まずはスティーヴ・ウインウッドのように弾きたいと思い、真似していました。もちろんオルガン奏者の第一人者であるジミー・スミス大先生はたくさん聴いていたのですが、素晴らしすぎてその素晴らしさがよくわからなかったです。強いて言うなら「どれも録音が良い」と思った記憶があるくらいです。
もちろんジミー大先生がオルガン界で別格なのは言うまでもないのですが・・・

 

そのなんていうかあのつまり、オルガンを始めた8年前も今も、いわゆる「キてる」感じを求めていたのかもしれません。そういう意味では当時はジミー大先生のイカレ具合が分かっていなかったのでしょう。

 

しかし今なら胸を張って言えます。

「ジミー・スミス大先生は誰よりもブッ飛んでた!」と!

 

浅はかな大石青年はより(分かりやすい)イカレた、そして本物の音楽を求めた結果、このドクター・ロニー・スミスに出会います。
でも本当は10代の頃から何度もドクターのオルガンは聴いていたと気付くのですが。
いわゆるジャズソウルの名盤といわれる、ルー・ドナルドソンの「アリゲーター・ブーガルー」というアルバム、何度も聴いていましたがオルガンが誰とかギターが誰とかはどうでも良いとしていたので、そのオルガン奏者でアルバムの重要人物がドクターだとは知らなかったのです。

 

しかし今なら胸を張って言えます。

「このアルバムで一番キてるのはドクターのオルガンだ!」と!!

 

「アリゲーター・ブーガルー」は超名盤なのでこのコラムで僕がお勧めするまででもないので今すぐ買いに行った方が良いです(動画のリンクすら貼らないですよ・・)。1967年の作品ですが、信じられないくらい音も演奏も最高です。後のジャズミュージシャンの方向性を示した一つの分岐点に当たる作品では無いでしょうか?そこらへんはジャズやフュージョンに詳しい友人達と議論を交わしてみて下さい。

 

ジャズ界、ポップス界を問わずキーパーソンとなるオルガン奏者は数いれど、ドクターは現在最高峰のオルガンプレーヤーでしょう。御歳72歳で現役でライブを続けている上に、そのプレイは技術も発想もキレ具合も衰えているどころかキレまくっているのです。

 

デビュー当時はちょっとイカした黒人青年、といった風貌だったのですが、なぜ、ある時期からターバンを巻いたおっさんになり、もはやターバンを巻いた怪しい呪術史、みたいな見た目で落ち着いてます。

これは僕の想像ですが、かのサン・ラを始め、アフリカの民族衣装を自らのイメージの中に取り込んでいる黒人ミュージシャンは多く、そういう人はスピリチュアル(霊的)な世界観を纏っている印象があります。
自身のルーツというか、アフリカ的な部分というか、そういった精神性をアピールするために、もしくは自分の信仰の一部として生活に取り入れているのではないでしょうか。

これは僕たち日本人が言葉にする「アフリカ」というのと、ルーツ指向のあるアメリカの黒人が思う「アフリカ」とは全くの別物であると理解した上での発想だと思います。
なぜアメリカ人の彼らが「アフリカ」に拘るのか、「アフリカ」とは一体なんだ?などの僕たち日本人には「ずっと解らないこと」が根底にある気がしています。

 

古来の文化を自ら捨てた日本人と、故郷も文化も搾取された黒人と、同じ音楽を演奏しているのが不思議な気さえしてきます。

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