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シリーズ監視カメラ 音楽の誘い その1


また、ソウルにいく人種もいます。

これはまた特殊な世界で、確実に異世界への入り口です。一度はまると抜け出せない沼です。

というのも、僕が興味のある「ブラックの美学」は白人や黄色人種の音楽とは全く違うものがあるのです。それはジャケットのデザインからサウンドメイクまで独自のものがあり、たどっていけばいく程に無限の広がりがあるジャンルです。

ここからジャズにいく者あり、ブルースに落ち着く者あり、ファンクを経てヒップホップにいく者ありと、様々です。結局おんなじ出口からみんな出る事に気付くのはまだ先だと思うのですが・・・僕たちが焼き肉を食ってもラーメン二郎を食っても寿司を食っても、結局おんなじ出口から出て行くのと同じように(お食事中の方は申し訳ありません。でも食事中に読むものではないのでご安心下さい。是非お食事の後か中断してお読み下さい)。

これは僕が裏ビデオと呼んでいる映像の一つで、普通に思春期を生活している高校生や大学生、ポップスターを目指して上京してきた音楽専門学生に見せてはいけないものです。
「イケない」ビデオです。

 

パソコンでもビデオでも、興味本位でこういうものに近づいて、万が一にでも抜け出せなくなったら、それはもう今まで聴いてきたものとの関連性とギャップと音楽樹形図について頭を音楽が支配する日々の始まりです。

もう「スティーヴィーワンダーくらいで止めとけば良かった」などとはみじんも感じなくなり、お小遣いはCDを買うためにのみ使い、また楽器屋やCD屋にいる「イケない大人」が新たな情報を入れてきます。

 

僕の場合は、悪魔(YAMAHA店員)が

「悠クン、ビートルズ好きやったら◯◯聴いてみたらええで。これ貸してあげる」

というイベントが14歳で訪れました。

それはビートルズから広がっていく無限の世界への入り口を開ける呪文のようなもので、またビートルズに深く入るための鍵でもありました。

青春に入り込んできた悪魔の囁きによって、僕の15年間はいまのところバラ色で、そして出口の見えない倉庫の中をまだまだウロウロしている日々です。

そのイベントはいつ訪れるか分からないので、それまでは自分の好きなものと暮らしているのがベストです。そのときには呪文が聞き取れない場合もありますし。後々効果を発揮していく「時限式」の魔法もあります。

 

レコード屋の監視カメラには、悪魔に勧められた音楽を探しに来た10代の若者の姿があると思うと、これほど楽しい事はありません。そして今度は自分が若い人に言う順番がきているので、いまでは僕もよく言っています。

「ビートルズ好きやったら◯◯聴いてみたらええよ。これ貸してあげるね」

何人かを沼に沈める事に成功して、何人かには時限爆弾を仕掛けています。
僕も一人前の悪魔になれていれば幸いと思う今日この頃です。いかがお過ごしでしょうか。

ではまた。





oishiyuライター: 大石 悠
 鍵盤奏者。幼少の頃から両親の影響でレコードを愛聴。特に生前の時代である60年-80年代のブラックミュージックシーンに魅力され、人間味のある泥臭くもパワフルな演奏スタイルを持つ。即興ジャムオルガントリオ"MYM",他セッション、サポートでも活動中。



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