ナミヒラアユコ 1man Live~風が行く先~ 密着取材レポート
1stセットの熱に会場が冷めやらないまま休憩の時間は過ぎ、再び出演者がステージにあがる。2ndセットは情熱的で上品な赤いワンピースを着たナミヒラアユコが登場した。
再度バンドメンバーを紹介した後、2ndセットの最初の曲は音楽的な仕掛けの多いナンバー「Night&Day」を演奏。エレクトリックピアノのファンキーなリズムにエレキギターのカッティング、これにドラムとベースが絡んだらノれない訳がないだろう。長谷川のプレジションべースが深くうねりをあげ会場のヴォルテージは最高潮に突き上げられる。
次はミドルテンポのグルーヴがアダルトな雰囲気を醸し出す「Crazy for you」
この曲はナミヒラの曲らしい表情が豊かな楽曲でバンドアレンジを行う久保田とのコンビネーションが素晴らしい。体がスライドするようなブラックミュージックフィールでナミヒラも同じく体中で音楽を表現していた。その姿は正に、バンドとアンサンブルしている。楽曲と共に徐々にテンションをあげ歪んだギターアドリブソロと共にナミヒラの天高く届きそうなファルセットが胸を締め付ける。ギターアドリブソロ空け、ピアノがソロで熱を鎮め劇的なエンディングを迎えた。
「スローモーション」はエレクトリックピアノの音色が幻想的なスローナンバー。
ゆったりとした曲調ながらも静かに身を委ねてしまったらどこかに置いていかれてしまいそうな緊張感がある。悲しみや寂しさを帯びたメロディで、”ハッ”と現実引き戻される瞬間がまた僕らの心を強く惹きつける。
ここでスペシャルゲストの大和田慧を紹介。大和田がステージへ登場と共にナミヒラをハグをし一緒にステージに立つ事を喜びあう。
ゲストを招いた1曲目は大和田のオリジナルソング「A Part Of Me」
リードパートを大和田が歌いナミヒラはハモリを添える。大和田の表現力や柔らかな歌声も素晴らしいがナミヒラのハモリも美しい。流石、音楽学校時代にコーラスを徹底的に教え込まれただけの事はある。彼女の魅力の一面を堪能する事が出来る素敵なコラボレーションだ。NYサウンドを思わせるコーラスハーモニーは新鮮味があり、観客が思わず手拍子をしてしまうシーンもあった。
コラボ2曲目はこれも大和田のオリジナルソング「Door on the Bright Side Will Open」
- 海外で電車に乗ってる時、次の駅がどっちのドアが開くかアナウンスを聞いた友人が
『Right Side(右側)』を『Bright Side(輝く方)』と空耳したのを聞いて書いた -
眩しく暖かな光に包まれるような優しい気持ちになれる歌。大和田が手を差し伸べ、ナミヒラに自分の曲のリードパートを歌わせるシーンがあった。”開くのはきっといつも明るい方のドア” と希望の方向へ先輩シンガーが後輩を導く姿に重ねて見えたのは著者だけだろうか。
クライマックスに向かってふたり、顔を見合わせて呼応するようにスキャットを歌い繋ぐ。ふたりの声が合わさり楽曲はエンディングを迎えた。先輩と後輩の深い愛情と尊敬が溢れたステージであった。
- 私がこれからもずっと歌い続けていくだろう曲 -
彼女の歌から始まる。「もし」
- 歌を伝える時、いつもそのままを伝えられたらいいなと思っている。それは難しい事だけど。ずっと歌っていたある時にふと伝わる瞬間があるんだと気付かせてくれた -
歌の力を信じた彼女だからこそ歌える曲。ストレート過ぎる歌詞が、彼女の想いを乗せ力強く歌わせる。
この曲は彼女そのものだ。彼女は歌を通して言葉や想いを伝えている。その伝えたいという気持ちがエネルギーとなり強く彼女を輝かせる。観客が食い入るように彼女を見つめる。いや、凄まじいエネルギーに彼女から目を背けることが出来ないのだ。ステージと観客が心のキャッチボールをし会場がひとつになる。この曲に何度も登場する優しさに溢れた言葉「そっくり、そのまま」。気付いたら一緒につぶやいてしまう自分がいた。
最後の曲は- 自分のおじいちゃんに向けた書いた曲 -という「あなたの海」
- 私のおじいちゃんはすごく優しくて、いつもぼそっと冗談を言っては笑わせる。沢山の愛や優しさを振りまいていた人。おじいちゃんから受けた優しさや愛を歌を通してみんなに届けたい -
観客へ感謝の気持ちを伝え、久保田の軽やかなピアノにのせ語り歌う。
息の合ったふたりの演奏はテンポもダイナミクスも共有しひとつの音楽に溶け込んでいる。信頼し合うふたりが生み出す空間は観客や会場を包み込み不思議な懐かしさと人のぬくもりを感じる。ナミヒラの想いを込めた言葉が自然と心に沁みこんでいく。頼もしく。優しい。
観客に一礼し、ステージを後にする出演者にすぐさまアンコールを求める拍手が起こる。
ナミヒラアユコからの最後のプレゼントはソウルフルなナンバー「U!」
長谷川のベースリフから音が重なり始め、後藤のファンキーなギターカッティング・久保田の切り裂くようなオルガンアドリブ・福森のパワフルなドラミングが炸裂。バンドが激しく熱を放ちサウンドした最高のノりに会場全体が踊りだす。ナミヒラも今日の最後に目一杯歌い楽しんでいるようだ。
曲がエンディングを迎える頃には観客は席から立ち上がり、力いっぱいの拍手で出演者に賞賛を送った。出演者がステージ前で肩を組んで並び一同礼。観客へ感謝の気持ちを伝えた。
終演後、ナミヒラはロビーへ。多くの彼女のファンと言葉を交わしていた。
プレゼントでもらったのだろう花束を手にナミヒラが談笑している。多くのファンもライブの暖かな空間に浸り楽しげに笑顔に溢れていた。人と人の繋がりを感じる優しさに溢れた夜であった。
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