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Jakob Bro Trio @Jazztreffen2015 Report


2015年10月24日、小春日和の穏やかな青山でSONG X JAZZ主催の音楽イベントJAZZTREFFEN 2015は行われた。

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この日は計5日間に渡るプログラムの中日。最多の出演者で賑わう日であった。このJAZZTREFFEN 2015はドイツとその近隣諸国のアーティストを招致し、ヨーロッパ音楽シーンの世界観を余すところなく堪能出来る主旨となっている。ロケーションとなった東京ドイツ文化センターは半世紀近く前に創立されて以来、ドイツ文化の普及と日独間の交流に努めてきた。このような由緒ある場所とヨーロッパ音楽の先端が交わる時、どのようなコントラストが生まれるのだろうか。期待に胸が膨らむ。

 

 

14:00の開演から客席は徐々に賑わいを見せ始めていく。

新たな切り口のジャズを世に送り出す気鋭のレーベルSONG X JAZZが提示するアーティストは一筋縄ではいかない者ばかり。ECM的な静謐さやカオティックな即興など、多様な色が点描のように散りばめられ、会場の空気と交わっていく。この日のステージは壇上ではなく檀下に設けられていたのだが、所々に配置された電球が明滅する照明演出がなんともロマンティック。演奏者の熱量に呼応して表情を変える光は音を形にせんとばかりに蠢いていた。視覚と聴覚に訴えかける空間演出に魅入られ、このイベントが持つ独特の緊張感と浮遊感に蝕まれて気付けば6時間ほど経過していた。

 

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そして、この日のトリを務めるJakob Broの登場。客席はほぼ満員に近い。
幾重もの拍手で迎えられたBroはひょうひょうとした出で立ちでいつものテレキャスターを抱えている…。と思いきやちょっと違う。指板はローズになり、フロントピックアップはハムバッキング(Gretschのフィルタートロンだろうか)に変わっていた。Nash guitars製のようだ。観客の期待に満ちた視線を浴びながらBroはエフェクターのツマミを調整し、メンバーと短いコンタクトを交わす。そして拍手が鳴り止むと、その時は始まった。

 

#1 Gefion

暖色の柔らかな照明の中、Broの幽玄な響きが滲み出す。
牧歌的で優しいテーマに色付けされていくドラムが実に美しい、今年ECMから発表された作品のタイトルトラックだ。
音数少なに展開していくBroのプレイは無駄な音が一切なく、流れるように音の隙間を縫っていく。

 

#2 Copenhagen

続いてもECM作品からの選曲。照明が少し落とされ、ほの灯りの中で微睡むように揺蕩うアルペジオが会場を包み込む。観客たちが魅入るのに時間はかからなかった。livereport_05_3
Broは終始コンピングに徹し、楽曲のアウトラインを形造る。このバンドの特色として感じたのは、楽曲及び演奏のレイヤーがはっきりと分かれていない事だ。
Broがソロを取っているように感じる場面もあれば、Thomasがソロを取っているように感じる瞬間もある。エヴァンス的インタープレイの、よりプリミティヴな形だと言おうか。

 

 

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