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このSaxophoneを聴け![Miguel Zenon]


どのアルバムもオリジナルソングが主体で故郷のプエルトリコの臭いを感じさせる、伝統的な、日本でいう民謡のような曲が多いですね。
そして毎回全ての曲を一人でアレンジ/作詞もしているのですが、実はこの人2009年に発表した『ESTA PLENA』でグラミー賞にノミネートされているのです。
僕が最初に友達に教えてもらったのもこのアルバムです。

 

どのアルバムも順位をつけづらいくらい素晴らしいのですが一番思い出のあるこのアルバムについてご紹介させて頂きます。

まずこのアルバムにはMiguel Zenon+お馴染みのリズム隊+Perccusion兼Vocalist3人で編成されています。

一環してとてもエスニックな雰囲気が流れる中ハイブリッドなコードを使い、さらにとんでもない複合変拍子で進んで行きます。
これだけ変なのに、なぜかどこか聴きやすいのはMiguelが持つ歌心、メロディーへの思いが強いからだと思われます。

では軽く曲紹介をして行きましょう!

 

Miguel Zenon – Esta Plena (2009)

listen031.Villa Palmeras

はい!きましたきましたあああ!
冒頭から強烈なパーカッションのストレート!
その後息をのむようなキメの後、超コンテンポラリーサウンドでリズム隊が入ってきます。
初っぱなから全力です!(良い意味です)
この曲は大きく乗れる4拍子が中心ですね。

2. Esta Plena

さて、このアルバムのタイトル曲ですね。
開始1秒でまず、あれ?アルバム間違えたかな?変なおじさんの声が入ってるし、完全に現地に入ってしまった。と思われるかもしれませんが、この人の音楽に一般常識は通用しません(笑)
細かいリズムの解説をするとリズム隊が入ってくるところから18/8拍子で、Piano,Bassは八分音符を5+5+5+3のパターンのリズム、ドラムが18/8拍子の半分の9拍子を4つ打ちのラテンファンクのようなリズムで叩いてます。
一見何も考えないで聴くと変拍子に聴こえてこないんです。
もう素晴らしいとしか言えません。良かったら聴いてみて下さい。

8. Que Sera de Puerto Rico?

プエルトリコはどこへ?
という意味らしいです。
伝統が破壊され経済が崩壊してしまった現在のプエルトリコ憂いかつての姿を取り戻そう!と訴えかける曲のようです。ゼノンが本作の中で一番吠えている意味も理解出来ますね。

9. Progerso

このアルバムの中でも唯一のバラードソングとも言えるでしょう。
前曲の激しい嵐のようなMigelを優しく包むようなPerdomoの美しいルバートソロから始まり、落ち着いたMigelが戻ってきて歌が幕開けます。
一見今までが強烈すぎたのであまり目立たない曲ですが最後まで聴くとこの感動が味わえると思います。
僕は嫌な事があると涙を流してこの曲を聴きます。(きもい!)

ざっと四曲ほど紹介致しましたが、他の曲も素敵な曲だらけです。

 

ラテンの要素を十分に含んだ本作ですが誰もが想像する陽気なラテンミュージックとは違い全体を通してシリアスな雰囲気を含んでいます。
見事にラテンミュージックとコンテンポラリージャズを融合させた歴史に残る作品だと思います。

他にもまだまだ紹介したいアルバムがありますが、今日はここまで!という事で、
最後まで読んで頂いた皆さんありがとうございました!





hiedahayatoライター:萩原 優
東京都生まれ。洗足音楽大学ジャズ科卒業。佐藤達哉氏に師事。
在学時からプロとして活動を開始。2011年,台北JazzFestivalにゲスト出演。2013年,菊地成孔が主催する"HOT HOUSE ALTO SAXOPHONE BATTLE"にて優勝。在学中3年間,同大学で特別選抜演奏者に認定される。Jazz~R&B,J-Popsまで幅広いジャンルを演奏する。


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・ このDrumsを聴け![Ari Hoenig] (秋元修著)


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